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- 歯ぐきが腫れる・歯がぐらぐらする~歯周病~
〜歯周病〜
歯周病ははじめに「歯ぐきの違和感や出血」から症状がはじまり、やがて「歯ぐきの腫れ」や「歯の揺れ」などの症状があらわれます。
歯周病の進行とその症状
歯はその周りを歯ぐき・セメント質・歯根膜・歯槽骨の4つの組織が取り囲み、維持しています。これら4つの組織をまとめて「歯周組織」といい、この歯周組織を破壊していくのが「歯周病」という病気です。
歯周病は進行の状態によって「歯肉炎」と「歯周炎」に分類され、進行の度合いによって症状のあらわれ方も変化していきます。
歯肉炎
【症状】
- 自覚症状はほとんどない
- 歯ぐきが赤い
- 歯ぐきがむずがゆい
- 歯磨きをすると出血する
歯肉炎は歯周病の初期で、歯周病菌の感染や炎症がまだ歯ぐきにとどまっている状態です。歯肉炎では自覚症状がほとんどなく、歯ぐきにもあまり変化が見られません。
ただ歯肉炎では歯ぐきがやや赤っぽく見えたり、「むずがいゆい」などの違和感を覚えたりすることがあります。また歯磨きの時に歯ブラシを軽く当てただけで出血が見られるような場合も、歯肉炎である可能性が高いでしょう。
軽度歯周炎
【症状】
- 自覚症状は少ない
- 歯ぐきが腫れる
- 歯ぐきから出血する
歯肉炎から歯周炎へ移行すると、細菌の感染や炎症は歯ぐきよりもさらに奥にある歯根膜や歯槽骨にまで波及していきます。
しかしこの段階になっても著しい症状などはあらわれず、日常生活に支障をきたすこともありません。ただ病状が進むにつれて歯ぐきの赤みや腫れ、出血などの症状が強くあらわれるようになります。
中等度歯周炎
【症状】
- 歯ぐきがブヨブヨに腫れる
- 歯ぐきから出血のほか、膿が出る
- 歯が少し揺れる
- 口臭が強くなる
中等度歯周炎の段階になると歯槽骨が根っこの長さの半分程度まで失われてしまうため、指で動かすと歯が揺れるのを確認できます。また赤くブヨブヨに腫れた歯ぐきからは、出血のほか排膿(膿の排出)が見られるようになります。さらにこの段階になると、歯周病特有の口臭(硫黄臭・生ゴミ臭)が強くなりはじめます。
重度歯周炎
【症状】
- 指で触ると歯がグラグラ揺れる
- 食べ物が咬めない
- 口臭がひどい
重度歯周炎になると歯を支える歯槽骨は根っこの半分以下になり、指で触ると歯が明らかにグラグラ揺れるのがわかるようになります。歯が骨からほとんど支えられていないため、食べ物もうまく咬むことができません。また口臭も周囲を不快にさせるほど強くなります。
歯周病の原因
歯周病はお口の中にいる700種類以上の細菌のうち、数十種類の歯周病菌の原因菌が歯ぐきに感染して発症する病気です。歯周病菌が歯ぐきからその奥の歯根膜、歯槽骨へと感染を広がると、歯と歯ぐきの間には「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝が形成されます。
この歯周ポケットが深くなると歯ブラシやその他の清掃器具が届かなくなるため、ポケット内にさらに細菌が増殖して歯周病の進行が加速していきます。歯周病菌のうち歯周病の発症にもっとも関連が深い3つの菌をレッドコンプレックスと言い、これらは血液の中に含まれるヘミン鉄を栄養源にしています。つまり、清掃(菌を減らす)と消炎(出血を減らす)ことが治療の柱となります。
また治療によって症状などが改善しても、ポケット内に再度細菌が増殖すれば、歯周病は再び進行をはじめていきます。そのため歯周病は再発率が高く、治療後も長期的な管理が必要です。
歯周病の治療
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ブラッシング指導
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歯科医院でいかに専門的な治療をおこなっても、ホームケアが不十分なままでは治療の効果があらわれません。そのような意味で歯周病の改善においては、ご家庭での毎日の歯磨きも「治療」という要素が強くなります。
当院では歯周病治療をはじめる前に、歯科衛生士が患者さんお一人おひとりのお口に状態に適したブラッシング法を丁寧に指導していきます。
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スケーリング(歯ぐきより上の歯石除去)
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歯石はザラザラした表面に細菌が付着しやすく、そのまま放置しておくと歯周病を悪化させる原因になってしまいます。そこで専用の機械を用いながら、歯ぐきより上に付着した歯石を取り除いていいきます。
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ディープスケーリング(歯ぐきより下の歯石除去)
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歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間に「歯周ポケット」という深い溝ができます。この溝の中の歯石をきれいに取り除かないと、歯周病は改善されません。
ディープスケーリングでは専用の器具で狭い歯周ポケット内の歯石を1本ずつ丁寧に取り除いていきます。1回の処置で4~6本程度となるため、複数回の通院が必要になります。
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PMTC(歯の表面のクリーニング)
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歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどでは落とせないプラークを、専用の機械や器具を用いてきれいに落としていきます。最後に歯の表面を滑らかに仕上げるため、以後汚れが付着しにくい状態がしばらく続きます。
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再評価
- 歯周病の治療が一通り終了したら、再度検査をおこない治療による改善を評価していきます。一定の改善が見られたら次のメンテナンスへと移行し、定期的な管理をおこなっていきます。
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メンテナンス
- 歯周病は再発しやすいため、治療後も1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月ごとに来院していただき、定期的なチェックとクリーニングをおこなっていきます。